第6教室:『ボヴァリー夫人』(只今学習中)/ 過去記事保存中『ココット嬢』『最後の授業』

『ボヴァリー夫人』を読んでフランス語の学習をしましょう.

語学学習日記(フランス語学習)『最後の授業』(24) ドーデ短編集より


最後の授業(24)
 
LA DERNIÈRE CLASSE
Récit d'un petit alsacien


————————— 【24】————————————————

  J' étais  étonné  de  voir  comme  je comprenais.  Tout
ce qu'il  disait me semblait  facile, facile.  Je crois aussi que
je n'avais jamais si bien écouté,  et  que lui* non plus  n'avait
jamais  mis  autant  de  patience  à  ses  explications.  On
aurait dit*² qu'avant de  s'en  aller  le  pauvre  homme voulait 
nous  donner tout  son savoir,  nous  le faire  entrer dans la
tête  d'un  seul  coup.

 

—————————— (訳)—————————————————

 何とその学課のよくわかることに私は驚きました.先生
が私に述べること全てが、いとも簡単に、たやすくわかる
気がしたのでした.私はそのときまで、こんなにしっかり
と、授業を聞いたことはなかったし、先生だってこれほど
忍耐強く説明をしてくれたことは今までになかったのだ. 
立ち去る前に、お気の毒な先生は私たちに知っていること
全ての知識を与えたかったようです.そしてその知識を
一気にわたしたちの頭の中に入れてあげたいと思ったよう
でした.


—————————— 《語彙》———————————————
                                    
étonné:(形) 驚いた; air étonné 驚いた顔
 être étonné de qch: に驚く 
 être étonné de + 不定詞:に驚く 
 être étonné que + 接続法:に驚く
  Je suis étonné de son absence. 
    Je suis étonné qu'il soit absent.
  彼が来ていないので私は驚いている.
<étonner (他) 驚かせる
d'un seul coup:一度に、一気に
nous le faire entrer dans la tête:それを私たちの頭に入れ
              せしめる
  faire + 不定詞 = 使役「~せしめる」
   ここでの意味は使役というより
  「入れてさしあげたい」という先生の願い.


———————————≪文法≫—————————————————

 *1) lui:il の強勢形;主語になっていて、同格のil に言いかえず
    lui だけで文主語となって、文を作っています.
  Lui ne le savait pas. 彼はそれを知らなかった.(言いかえなし)  
    Il ne le savait pas, lui.   彼はそれを知らなかった.
                        (ilが主語でlui が同格による言いかえ)
   尚、lui が主語であることは対応する動詞の活用形がavait (3単)
  であることからもわかる.決してJe crois que je lui...ではない.  
   (対応動詞はavais ではない)

   強勢形は、よく言いかえをするのでこの註釈を書きました.
  Moi, je travaille, et toi, tu t'amuse. / 私は働いているのに、君は
  遊んでいる. 
   強勢形の便利な点は、il やje が主語以外に使えないのに対し、
  補語にも目的語にも使えるという点です.
   C'est moi. とは言えても、C'est je とは言えません. 
   何?Que c'est je という文庫がある? あれは Que sais - je ?
   といって、「私は何をか知る」つまりうぬぼれないで、もっと
  この本を読んで~、みたいな文庫名ですので.

*2) on aurait dit que ~ :まるで~のようだった(条件法過去)
    「第三書房」の対訳書では「まるで~のようだ」
  という解説がついています.しかし現在の事実に遭遇して
  「いや、まるで~だ」という場合は条件法現在を用います.

    おおきなクマをみて
  On dirait un ours ! /  On dirait que c'est un ours !
    まるでクマみたいだ.

    そして過去の状況を回顧して言う場合は、本文の
  on aurait dit que ~ :まるで~のようだった(条件法過去)
  を用います.
    On aurait dit un ours ! / まるでクマにたいだった.
  On aurait dit qu'il n'y avait personne.
    どうも誰もいないようだった.  
     引用文:「これならわかるフランス語文法」(NHK出版)