最後の授業(12)
LA DERNIÈRE CLASSE
Récit d'un petit alsacien
——————————— 【12】—————————————
Pendant que je m'étonnais de*¹ tout cela, M. Hamel
était monté*² dans sa chaire*³, et de*⁴ la même voix
douce et grave dont il m'avait reçu, il nous dit;
« Mes enfants, c'est la dernière fois que je vous fais
la classe. L'ordre est venu de Berlin de*⁵ ne*⁶*⁷ plus*⁷
enseigner que *⁶ l'allemand dans les écoles de l'Alsace*⁸
et de la Lorraine*⁸ ...»
——————————— (訳)—————————————
こうしたことを不思議に思っている間に、アメル先生は教壇に
上っていました.そしてさっき私を迎えた同じ優しい威厳のあ
る声で、私たちに言いました;
「諸君、きょうこれが私がする最後の授業になります. ベル
リンから命令が来まして、アルザスとロレーヌの学校では、もは
やドイツ語しか教えてはいけないことになりました...」
——————————— 《語句》—————————————
*1) je m'étonnais de: s'étonner de ~ 「~に驚く、~を不思議に思う」.
事の異常なのに驚く場合で、surprendre は不意に驚かされる
ような場合に用いる.
*2) était monté: (直説法大過去) <monter (自) 上る、登る
*3) chaire:(f) (教室の)教壇、(教会の)説教壇、(講談会場の)講壇
*4) de: ~で; 「手段」「様態」などを表す前置詞.
répondre d'une voix douce やさしい声で答える
travaoller de ses mains 自分の手を使って仕事をする
frapper du pied 足でけとばす
*5) de: 不定詞導入詞で、名詞の補語、名詞の内容説明を導く.
idée de se marier 結婚するという考え
*6) ne....que ~: ~しか…ない
*7) ne plus: もはや~ない
*6+*7) ne plus....que ~: もはや~しか…ない
———————————≪文法≫—————————————————
*2) était monté: 過去の2つの動作を大過去と他の過去によって
表す場合、その関係を示すため、一般に本文のように
pendant que (あるいは quand, lorsque, après que, que, etc.)
が用いられる.
*5) de: 上の語句欄で、この de が「名詞の内容説明を導く」と
述べましたが、肝心の名詞が定動詞群est venu を飛び越えて、
主語側に、というか主語そのものです.つまり本来「主部」
にあるべき de 以下が「述部」に移動しています.几帳面に
de以下を主語側につけると頭でっかちの文になるので、
[de+不定詞群]を後から、ゆっくり述べる手法です.文法的
には「転移文」とか「後置文」とか「文末遊離文」などと呼
ばれています.短い文でもよくある現象です.日常会話にも
頻出する現象です.
L'annonce est venue de me détacher. / 出向通知が来たよ
*8) 普仏戦争でフランスが負け、アルザスはドイツ(プロイセン)
領となった ため、ドイツ語しか教えてはいけないことになり
ました.