第6教室:『ボヴァリー夫人』(只今学習中)/ 過去記事保存中『ココット嬢』『最後の授業』

『ボヴァリー夫人』を読んでフランス語の学習をしましょう.

語学学習日記(フランス語学習)『最後の授業』(19) ドーデ短編集より


最後の授業(19)
 
LA DERNIÈRE CLASSE
Récit d'un petit alsacien


 ——————————— 【19】————————————————

mais  je   m'embrouillai  aux  premiers  mots,   et  je  restai  de-
bout  à  me  balancer   dans  mon  banc,   le  cœur  gros,  sans
oser  lever  la  tête.

———————————— (訳)—————————————————

しかしぼくは、出だしの言葉から、躓いてしまった.自分の席に
立ったままもじもじして、胸がいっぱいになって、顔を上げるこ
とさえ出来なかった. 


——————————— 《単語・註釈》———————————————
       
m'embrouillai: (単純過去1単) <s'embrouiller (代動) もつれる、
[マンブルイエ]   混乱する、わけがわからなくなる
               s'embrouiller dans ses explications / 説明がもたつく
aux premiers mots:出だしの言葉から、
se balancer:[文] ためらう、ぐずぐずする.
restai debout:(単純過去1単) <rester debout 立ったままでいる 
    このあとの 不定詞を伴う[à] は「継続」を表して「~しながら」
    rester debout à se balancer / 立ったまま、ぐずぐずする.
  je restai debout à me balancer / ぼくは立ったまま、もじもじしていた.
le cœur gros:胸が一杯で
  le cœur は名詞ですが、ここでは後続のgros がle cœur を主語にして
  その述語となり、主述構造をもつ名詞句となります.
  le cœur gros de sentiments divers / 様々な気持ちで胸が一杯になって
  ということです.    
    一般に、主文の主語に所属する名詞(特に心や身体)が前置詞なしで
  置かれた場合でその名詞が後続語を従えている場合は、その名詞+
  後続語の間に「主語、述語関係」が成り立っている場合があります.
  とりあえず「名詞構文」と仮呼称します.
oser:(他) [oser + 不定詞] あえて~する;   
     否定文で「~すらできない」
     sans oser ~ も一種の否定文で「~すらできずに」
   sans oser lever la tête 頭を持ち上げることすらできずに