第6教室:『ボヴァリー夫人』(只今学習中)/ 過去記事保存中『ココット嬢』『最後の授業』

『ボヴァリー夫人』を読んでフランス語の学習をしましょう.

ココット嬢(50)(モーパッサン作品集より)


ココット嬢(50)   
Mademoiselle Cocotte


——————————【50】——————————————

  «  Il  faillit devenir  idiot;  il  fut  malade  pendant
un  mois; et,  chaque  nuit,  il  rêvait  de  sa  chienne;
il  la  sentait   qui  léchait  ses  mains;  il  l' entendait  
aboyer.         

 
.——————————(訳)————————————————

 「彼は白痴になりかけました:一か月間寝込みました.
そして毎晩彼は自分の犬の夢をみました.(夢の中で)
彼は犬が自分の手を舐めていたのを感じていました.
彼は犬が吠えるのも聞こえました.  


.——————————《語句》———————————————
            
faillit:[発音 ファイ-イ](単純過去3単) < faillir [ファイイール]
   (過去分詞はfailli [ファイーイ])
  現在活用なし;
  不定詞、複合時制、単純過去がほとんど
faillir + 不定詞:危うく~しそうになる
       もう少しで~するとこおろだ     
idiot(e):(形) ばかな、白痴の        
léchait:(半過去3単) < lécher (他) なめる
     lécher une glace / アイスクリームをなめる
     chien qui lèche la main de son maître / 
     飼い主の手をなめる犬      
aboyer:(自) (犬が)ほえる、唸り声を上げる
   

——————————≪文法≫ —————————————————

🔶 感覚動詞
   voir 「見る、見える」、entendre 「聞く、聞こえる」
  sentir 「感じる」などは「感覚動詞」と呼ばれます.
 こういう動詞のあとに不定詞がきて、「…が~する
のを見る(聞く、感じる)というような節になるとき、
不定詞とその不定詞の主語(同時に感覚動詞の直接補語
になっている)名詞または代名詞との語順は次のように
なります.

(1)不定詞が自動詞のとき:
(a) <感覚動詞—不定詞—名詞> 
  Je vois courir un chien. / 犬が走っているのが見える.
  J'entends siffler le train. / 汽車が汽笛をならしている
  のが聞こえます.

㊟ この場合、<感覚動詞—名詞—不定詞>
    Je vois un chien courir. やJ'entends le train siffler .
    の語順でも差し支えありません.ただし、不定詞に
  副詞などがついていないときには、ふつう主語名詞
  をあとに置く方が調子がいいとのことです.

(b) <代名詞—感覚動詞—不定詞>
  Je le vois courir. / それが走っているのが見えます.

  (2)不定詞が他動詞のとき:
(a) <感覚動詞—名詞—不定詞—不定詞の直接補語名詞>
  Je vois mon frère danser une valse.
    兄(弟)がワルツを踊っているのが見えます.
  J'entends Marie chanter une chanson.
    私はマリーが歌を歌っているのが聞こえます. 

㊟ 感覚動詞の主語になっている名詞(例文では mon frère,
Marie)は不定詞のあとに à または par をそえておくことも
できます.
  J'entends chanter une chanson à (par) Marie.

(b) <代名詞—感覚動詞—不定詞—不定詞の直接補語名詞>
    Je le vois danser une valse. 
    彼がワルツを踊っているのが見えます.

㊟ この場合J'entends chanter une chanson par Marie.
  という文で Marie を代名詞にするとla ではなく
  lui になります.
  Je lui entends chanter une chanson.