第6教室:『ボヴァリー夫人』(只今学習中)/ 過去記事保存中『ココット嬢』『最後の授業』

『ボヴァリー夫人』を読んでフランス語の学習をしましょう.

ココット嬢(24)(モーパッサン作品集より)


ココット嬢(24)   
Mademoselle Cocotte


——————————【24】—————————————————

Les  maîtres  rencontraient  à  tout  moment  dans
l' escalier  et  jusque  dans  les  chambres  de  petits
roquets  jaunes  à  queue  empanchée,  des  chiens
de  chasse,  des  bouledogues,  des  loulous  rôdeurs
à  poil  sale,  vagabonds  sans  feu  ni  lieu,  de  terre-
neuve  énormes  qui  faisaient  fuir  les  enfants.
 

  
..——————————(訳)—————————————————
  
主人たちは絶えず階段のところや、さらには部屋の中で
さえ羽根飾りのある尻尾をした黄色い小さな狆や、猟犬
や、ブルドッグ、うろつきまわる不潔な毛のスピッツ
宿なしの放浪の犬たち、そしてさらに大きなニューファ
ンドランド犬などで、いつも子供たちは逃げ回っていま
した.
                    
 


.——————————《語句》————————————————
                         
rencontraient:(半過去3複) 
   <rencontrer (他) (~と偶然)出会う      
à tout moment:絶えず 
roquet:(m) よく吠える子犬、チン(狆) 
empanché(e):(形) 羽根飾りをつけた
de petits roquets jaunes à queue empanchée: 
 (羽根飾りをつけた尻尾をした小さな狆)
 * 形容詞が複数名詞の前に出ると不定冠詞desはde 
jusque dans les chambres:
  部屋の中までも、部屋の中でさえ
    jusque は「~まで」ですが強調されることがありま
  す.とくに場所をいう前置詞つきの名詞の前では
  「~さえまで」と意味が強調されるのではないかと
  思います.英語でいうとeven into the rooms であっ
  てもはやtill into the rooms よりも強調されています.
bouledogue:[ブルドッグ](m) ブルドッグ 
loulou:(m) スピッツ  
rôdeur(euse):(形) うろつく、さまよう    
sale:(形) 汚い、汚れた、不潔な
poli:(m) 光沢、艶        
poli sale:不潔な光沢?不気味なので訳本を見たところ
   この箇所は「汚い毛」と訳されていました.でも
   poli には「毛」という意味はなく、プロが誤訳を
   するとも考えられません.そこで和仏で「毛」を
   引いたところ、poil とありました.つまり、私め
   の写し間違いという漫画みたいな結末となりまし
   た.自分で自分を怒りました.「間違えたのはおま
   はんじゃ、このアンポンタン~」あ、アンポンタ
   ンで思い出したがアンポルタンimportant は「重大
   な」という意味.poli とpoilとでは重大な違いです.         
à poil sale:汚い毛をした         
sans feu ni lieu:火も場所もなく:おそらく食べ物を焼く
   「火」と寝る「場所」、つまり「宿なし」
vagabond(e):(m/f) 放浪者、浮浪者 
sans feu ni lieu:宿なしの  
terre-neuve:(m)  ニューファンドランド
  [黒い長毛の大型犬で、海・河川で人命救助に
   用いられる犬]
énorme:(形) 並はずれた、巨大な    
faisaient:(半過去3複) < faire (ここでは使役動詞)
   faire + A(自動詞) + B(自動詞の主語)
      AをBさせる 
   faire tomber les pommes en secouant les branches
       (枝を揺らしてりんごを落とす)
faisaient fuir les enfants:(半過去3複) 
 直訳:彼ら(犬たち)はいつも子供たちを逃がしていた.
  調整:彼ら(犬たち)のために子供たちはいつも逃げ回
    っていた.
 * フランス語は日本語の「理由、原因」に相当する
 語句でも主語にしてしまうので、その主語を
 「~のために」「~のおかげで」「~のせいで」
 などに置き換え、その目的語を主語として訳せば
 自然な日本語ができるでしょう.