第6教室:『ボヴァリー夫人』(只今学習中)/ 過去記事保存中『ココット嬢』『最後の授業』

『ボヴァリー夫人』を読んでフランス語の学習をしましょう.

ボヴァリー夫人(4)(ギュスターヴ・フローベール)


Gustave Flabert
Madam Bovary
ボヴァリー夫人


ボヴァリー夫人(4)


———————————【4】—————————————————
       
Il avait  les  cheveux  coupés  droit  sur  le  front,  
comme un  chantre  de  village,  l'air  raisonnable  et  
fort  embarrassé. Quoiqu'il  ne  fût  pas  large  des  
épaules,  son  habit-veste  de  drap  vert  à  boutons  
noirs  devait  le  gêner  aux  entournures  et  laissait  
voir,  par  la  fente  des  parements,  des  poignets  
rouges  habitués  à  être  nus.    


———————————(訳)—————————————————

髪は村の聖歌隊の少年のように、額のところでまっすぐ
切り揃えていた.かしこまった雰囲気があり、とても当
惑した様子もあった.肩幅は広くはなかったが、黒いボ
タンのついた緑色のラシャの上着は袖口のところでは、
彼に窮屈感を与えていたに違いなかった.袖の折り返し
の裂け目が彼の赤っぽい手首がいつもそこはむき出しで
あって、それに慣れていることを見せていたのだった.

 

———————————《語句》————————————————
 
chantre:(m) 聖歌隊
raisonnable:(形) 分別のある、聞き分けのよい、
   常識的な  
fort:(副) 非常に、とても  
embarrassé(e):(形) 当惑した、困惑した 
quoique + 接続法:❶~とはいえ、~にもかかわらず;
   ❷quoique + 過去分詞、現在分詞
      Quoique vivant depuis dix ans au Japon, il ne parle
      toujours pas la langue. / 日本に住みついて10年に
      なるのに、彼はあいかわらず日本語が話せない.
   ❸(文頭の主節を受けて) でも、 
épaule:(f) 肩;(ふたつあるので通例複数)
   Il est large d'épaule. / Il a les épaules larges.
      彼は肩幅が広い.
habit-veste:(辞書不掲載) → habit(服装) + veste(上着)
   vest が女性名詞なので、全体もそうなると思うが
   son についてはhabit が無声h によるものと考える.
   尚、habit (m)を「衣服」として言う場合、複数で
   用いる.  
drap:[ドラ](m) ラシャ、毛織物、ウール 
vert(e)[ヴェール、ヴェルト]:緑の、緑色の   
bouton:(m) ❶ (衣服の)ボタン; ❷ 芽、つぼみ
noir(e):(形) 黒い
gêner:(他) ❶窮屈にする、不快にする;
   ❷妨げる、じゃまする、迷惑をかける、
   ❸困らせる、気詰まりを感じさせる    
entournure:(f) 袖ぐり、袖付け  
laissait + 不定詞:(3単半過去) (他)
   <laisser ~のままにさせておく 
voir:(他) 見る、見える         
fente:(f) 割れ目、裂け目    
parement:(m) (袖、襟などの)折り返し、飾りべり    
poignet:[ポワニェ](m) ❶ 手首; ❷ 袖口、カフス    
habitué:(p.passé) <habituer   
nu(e):(形) 裸の、むき出しの