最後の授業(10)
LA DERNIÈRE CLASSE
Récit d'un petit alsacien
——————————— 【10】—————————————
Tout ce monde-là*¹ paraissait*² triste; et Hauser avait
apporté un vieil abécédaire*³ mangé*⁴ aux bords qu'il tenait
grand ouvert sur ses genoux, avec ses grosses lunettes
posées en travers des*⁵ pages.
——————————— (訳)—————————————
そこにいた人たちはみんな悲しそうな顔をしていました;
オーゼル爺さんは縁がぼろぼろの古い読本を持っていて、そ
れを膝の上で大きく見開いていて、自分の大きなメガネでペ
ージに対して横向けに置いていました.
——————————— 《語句》—————————————
*1) tout ce monde-là: その人たちはみんな;
そこにいた全ての人たち
*2) paraissait:(半過去3単) <paraître [パレートル] (自) 現れる
paraître + 属詞: ~のように見える、~と思われる
Ils paraissait triste. 彼らは悲しそうに見えた.
彼らは悲しそうだった.
本文の訳は「悲しそうな顔をしていました」で、顔という
単語はどこにもありませんが、悲しそうかどうかは「顔」
で判断するので付け加えました.仏検本番ではなるべく
逸脱しない和訳をしましょう.
*3) abécédaire: (m) 初歩読本、文字練習帳、文字を教えるため
の初歩読本.
訳は、初歩読本としました.これを書いている私も、
見たことがないので、どんなものかははっきりわか
りません.すみません.
想像ですが、国語の教科書に「書き方」(ペンマンシ
ップ)のページがついているような教材だと思います.
*4) mangé:(形、過去分詞) よれよれの、ぼろぼろの、
使い古して傷んだ
<manger 食べる; 消耗する、失う、(色を)あせさせる
*5) en travers de ~: ~に対し横向きに
posées en travers de pages
ページに対して横向きに置いて
(つまりフランス語は横書きなのでメガネを虫眼鏡の
ように使っていたということだと思います)